2016年8月29日

「見立て」の科学(3)目利きの目線を追う

うだるような暑さが続いています。きものを纏うには厳しい気候ですね。

ですが麻や絽などの夏素材のきものは襟元や袂を風が通り抜けて、見た目以上に実は涼しく着られるのですよ。ぜひ一度試していただきたいものです。

 

さて、先月の市民講座「京友禅染の見立て ―ベテランバイヤーの眼球の動きを科学する―」でも披露した眼球動作解析についてお話ししましょう。

 

眼球動作解析とは、被験者の目線の動きを視覚化し、周りの人にも「今、何を見ているのか」が分かるシステムです。

 



 

後姿で分かりづらいかと思いますが、特殊なゴーグルを装着しています。

これは被験者の眼に合わせてピントなどを調節しているところですね。

調整が終わると、目の動きに合わせて赤い光線がきものの上を動いて視線の視覚化ができます。

もちろん視線をデータ化して残していく事も可能です。

 

 

写真は仕立て終わった附下をサンプルとして、見立てを行っています。

見立てのポイントは『「良いきもの」の目利きポイント』でもお話ししましたが、

では、実際にはどのようなポイントを見ているのか解説していきましょう。

 

  • 柄、柄流れを見る


まずは皆さんのご想像の通り、柄を見ます。

一つ目のポイントとしては、「どこに柄のポイントがあるか」。

このきものの場合だと、裾に控えめな正倉院の宝物柄があしらわれています。この柄が上前から後ろにかけて美しい流れを持って配置されているかをチェックします。

目線も柄を追うように動いていました。

 

お似合いになる年齢やシーンも同時に評価しますが、こちらのデザインだと50代以降くらいの方にぴったりだと思います。

帯を付けた後にどのように柄が出てくるのかなども想像して評価していますよ。

 

デザインに関わることなので、見立てる者の主観や好みも反映されますが、どのバイヤーも評価するポイントは似ていると思います。

 

  • 染色方法を見る


手描き友禅なのか、型友禅なのか、それともプリントものなのか。

売価を大きく左右する染色方法をしっかりと見極めるため、目線は柄の周辺を重点的に行き来します。

こちらの場合は手描き友禅で、でんぷん糊を使っていますので全体的にはんなりとした風合いに仕上がっていると高く評価しています。

(※シャープな柄だとゴム糊のほうが引き締まって見えるので、一概に悪いわけではありません)

 

  • 素材を確認する


多くの場合、袖の内側に白生地の生産地の判が押してあります。

もうほとんどお目にかかれることはありませんが、希少な国産生糸を使用している場合はその証紙も付いています。何もなければ海外産の生糸です。

 

 

ほか、袷のきものならば八掛(裾周りについている裏地のこと)も必ずチェックします。

素材から仕立ての美しさも、お客様の手に渡るものだと思うと見落とすことはできません。

 

 

さて、次回は引き続き見立てのサンプル評価についてお話ししましょう。

来月は反物の評価をお話しいたしますよ。

 

お楽しみに!

 

 

posted by hishiken at 09:49 | はんなり研究 |

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