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はんなりLab

2016年7月8日

「見立て」の科学(2)目利きの基礎知識

日差しが一気に眩しくなり、暑さの堪える季節となりました。

7月の京都と言えば、祇園祭。当社の前も、宵山が始まると艶やかな浴衣姿の方々がひしめき、我々も心浮き立ちます。

 

さて、先月の市民講座「京友禅染の見立て ―ベテランバイヤーの眼球の動きを科学する―」のお話しの続きをいたしましょう。

仕立て上がったきもの、または反物の「見立てのポイント」は前回簡潔にお話しいたしました。今回は、事前に持っておくべききものの知識を簡単にご説明しましょう。

 

見立てに必要な知識は、大まかには4つほどのジャンルに分けられるでしょうか。

 

【1】染色方法

きものの染色は、まず「後染め」と「先染め」に分けられます。

 

糸を染め上げ、織り構造を変化させて文様を表現するものを「先染め」と言い、紬や絣のきものはこちらに入ります。

先に白生地を作り、文様や地色をつけていく染物が「後染め」と言い、友禅染、藍染、絞り染、蝋染などの種類があります。

 

私が主に扱う友禅染は江戸・元禄時代に確立された手法ですが、蝋染なども正倉院宝物の中からも発見させている歴史ある手法。どれもそれぞれの美しさがありますね。

 

当然、見立ての際にはこの中からどの手法を使って染められたきものなのか、見て理解する必要があるのです。

 

【2】友禅染の手法

以前こちらの記事でもお話しした通り、手描・型友禅、スクリーン・機械・インクジェット捺染の5種類があります。

 

手描き友禅以外は型紙や版を作る必要があるため、ある程度の量産化を見込んだ時のみ使える手法です。とはいえ型友禅でも、ある時は300枚ほどの型紙を使って色を重ねていきますので、丹精込めて作っていることに変わりはありません。

初心者の方でもわかりやすいのは、「生地を裏返して裏写りがなければインクジェット捺染のきもの」という見分け方でしょうか。お値段もお手頃なものであることが多いですよ。

 

ちなみに国から「伝統的工芸品」として指定を受けている染色方法は「手描き友禅」「手描き小紋」のみ。未来のためにしっかり技術を残していかねばなりません。

 

【3】生糸(生地)の産地

生糸や白生地の産地は、生地に認証印が押してあります。こちらを見て素材のグレードを判断するのですが、そのためには生糸の産地や現在のバックグラウンドの知識も必要です。

生糸産地の現状も以前お話ししましたね。

https://www.hishiken.co.jp/hannari-blog/?p=139

 

日本の生糸で織ったちりめんはもはや私たちも目にすることが少なくなりました。ですから国産というだけで、やはり高めの値付けになってきます。

 

【4】糊の種類

「はんなりLab.」をご覧いただいている方にはおなじみ、私の専門分野である「糊」は見立ての上でも大切なポイントです。

「でんぷん糊」か「ゴム糊」か、使う糊の種類で出る「はんなり感」の違いは仕上がりを大きく左右します。過去のこちらの記事が一番わかりやすいでしょうか。

https://www.hishiken.co.jp/hannari-blog/?p=109

 

ちなみに糊置きにも、手描きのほか「型糸目(糊糸目)」という手法があります。型友禅と同じような手法で、量産のときに使います。

 

 

 

きものと関わる私たちは、長い年月をかけてこのような基礎知識のほか、友禅や各産地の歴史など、ざまざまな情報を身につけて、少しづつ見立てができるようになっていくのです。

 

ではこちらのポイントをふまえて、次回は当日行った見立ての実演を、できる範囲で再現してみたいと思います。

 

お楽しみに!

 

posted by hishiken at 17:45 | はんなり研究 |

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株式会社 菱健 HISHIKEN Co. Ltd.,

プロフィール

代表取締役社長 古川貴士

京都三条室町 染処菱健の代表取締役。
「すべてはきものファンのために。」これが「きものづくり」に対する想いです。

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