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2014年12月5日
「はんなり」を生む「のり」の技
10月に、はんなりしたイメージは糊の種類によって変化するお話をしました。
今回はでんぷん糊とゴム糊の間で出るはんなりぐあいの差を、少し専門的なところに踏み込んで解説してみたいと思います。
前回、二つの糊の表面を観察すると、染まりぐあいに差がありました。
この原因を探るため、次は断面を観察してみます。すると二つの糊で、以下の違いが見て取れました。
★でんぷん糊
- 生地への浸透力が弱く、糊の裏側から染料が浸透している
- そのため、染めた面と染めていない面への色変化がゆるやか
★ゴム糊
- 防染効果が高く、生地の裏側まで糊が浸透して染料がにじまない
- そのため、染めた面と染めていない面がはっきり分かれ鮮明に染まる
この染料の境界線のあいまいさが、「はんなり」を生み出しているのです。
じつは、昔からきものづくりの職人たちは「でんぷん糊はゴム糊よりもにじみやすいから気をつけて染めないといけない」と知っていました。
それが、実験でも証明できたのです。
次回はでんぷん糊で染めた着物が、実際どれくらい高く評価されているのか。
そして貴重なものになりつつあることをお話します。
お楽しみに!