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絞り染めの技を追う(1) 京鹿の子絞りとは
たくさんの台風を受け止めた夏が過ぎ、ひんやりとした風を感じるようになりました。
袷のきものが心地よく纏える季節がやってまいりましたね。
さて、今回は新しく参加させていただいている絞り染めの研究についてご紹介します。
京都産業大学で大変お世話になった濱田教授からお声がけをいただき、帝塚山大学・風呂井先生が行われている「京鹿の子絞り」をテーマとした共同研究に参加しています。
私の役目は、今まで友禅染の研究をしてきた立場から、実験の内容や表面観察のポイントなどをアドバイスさせていただき、サポートすることです。
今回はまず、「京鹿の子絞りとはどんなものか」についてお話しいたしましょう。
絞り染め技法の歴史は古く、奈良時代まで遡ります。
日本の古代染色技法に「蝋纈(ろうけち)」「夾纈(きょうけち)」「纐纈(こうけち)」の三つ、「天平の三纈(さんけち)」と呼ばれるものがあります。
このうち纐纈が今の絞り染めにあたるものです。友禅染めの発祥は江戸時代ですから、染めの中では大先輩の技法ですね。
この中でも京都で生産される絞り染めを、「京鹿の子絞り」と呼んでいます。
京鹿の子絞りはちりめん地などを絹糸でぎゅっと縛ってから染めます。すると皆さんもご覧になったことがあると思いますが、白いドーナツ状のリングが染まらずに残ります。
こうしてできた文様が、鹿の斑点もように似ていることが「鹿の子絞り」の名の由来と言われています。
また糸を強く引き絞った跡が残り、布地に立体感を生むことも京鹿の子絞りの持ち味とされています。
今後しばらくは、この京鹿の子の実験結果などについてお話ししたいと思います。
次回は京鹿の子絞りの技法を詳しくお話しいたしましょうか。
お楽しみに!