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染めをつむぐ技たち(3)染め職人
始まりの春に、大きな災害が起きてしまいました。
熊本地震で犠牲になられた方のご冥福をお祈りいたしますと共に、被災された方々に一日も早く、心穏やかな日々が訪れますよう願っております。
さて、今回は「友禅染」と聞いて真っ先に思い浮かぶことでしょう、染め工程についてお話ししましょう。
手描き友禅はいくつもの工程に分かれていて、それぞれの工程には
その道のプロフェッショナルな方々がいらっしゃいます。
良いきものは、幾人もの職人さんが心を込めて次の工程へとつなぎ、仕上がるのです。
一言に「染め」と言っても、きものが出来上がるまでには「引染め」と「挿友禅」という、大きく2つの工程が存在します。
「引染め」は、地色を染める工程のことです。
糊置きが終わると、絵柄部分を糊で覆って防染する「糊伏せ」が行われます。
残った白生地を刷毛で染めていくのが「引染め」です。きものによって、全体を均一に染めることもあれば、流れるようなグラデーションをつけたりふんわりとぼかしたり。
きものの風合いを大きく左右する染め工程です。
そして、先日池坊専好さんにも体験いただいたのが「挿友禅」です。
糊でふちどった図柄に沿って、細い筆や刷毛を駆使し色を挿していく、繊細な作業。
この工程と糊置き工程のコンビネーションが良ければよいほど、はんなり度合いの高いきものになるとも言えますね。
色使いの妙で、着ている人の印象を大きく左右するのはきものも洋服も同じ。
だからこそ熟練の技で染め上げられたきものは、ため息がこぼれる美しさなのです。
さて、最後に少しお知らせです。
6月9日に高槻市の市民講座「匠の目線‐実演、伝統の技」でお話しさせていただくことになりました。
「京友禅染の見立て ―ベテランバイヤーの眼球の動きを科学する―」と題し、感性学の観点から研究した内容をもとにお話しさせていただく予定です。
http://www.city.takatsuki.osaka.jp/kakuka/shimin/syougaic/gyomuannai/teiki/kougei.html
興味を持っていただける方は、ぜひいらしてください。
お待ちしております。
そのようなわけですから、次回は講演会でのお話しをこちらでもいたしましょうか。
お楽しみに!