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タイでカーペットを作る学友と、夢を語る。
立秋を迎えたとは言えど、まだまだ暑さの盛り。みなさまいかがお過ごしでしょうか。
さて、今回は先月、タイへ学会出張と、学友の工場へ見学に行ってきたお話です。
この「はんなりLab.」でもお伝えしていますが、私は京都工芸繊維大学さんのご協力のもと、友禅染についての研究をしており、国内外で研究成果を発表する機会もいただいております。
今回参加した国際学会、タイ・クラビ島で開催されたEMSES 2015 (the 12th Eco-Energy and Materials Science and Engineering Symposium)では、糊置き研究についての研究成果を発表いたしました。
学会では、他の研究のお話もたくさんお聞きでき、刺激と学びをいただきました。
発表内容に興味をお持ちいただけましたら、過去のはんなり研究をご覧ください。
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さて、学会のあとはバンコクへ渡り、同じ研究室の仲間である根来社長のご案内でタイネゴロさんの工場を見学させてもらいました。
タイネゴロさんの親会社、根来産業株式会社さんは、昔から大阪・南泉州でカーペットの製造を行っておられる会社さんです。いち早く中国やタイに工場を進出させ、今やホームセンター等で売られているカーペット製品市場で、大きなシェアを占めておられます。
タイネゴロさんでは、ペットボトルを回収してチップ(ペレット)にし、合成繊維に加工してカーペットとして織り上げるまで、一貫して生産を行っています。
根来社長の研究分野も、再生PETを元にした複合材料による合成繊維が専門です。
ペレットから、ふわりとした綿の繊維質が出来上がります。
カーペット用の糸は、パイル状に編んでいくことや、肌触りの面から繊維に波打たせるような加工を施します。
その繊維をつむいで、糸に。
いよいよ、機械で織り上げていきます!
私が研究する天然繊維材料や、身を置く伝統産業の現場とはずいぶん違うものを見せていただき、興味がつきませんでした。思ったことを全部書いていては、とてもここに納まりません・・・
学生の方と一緒に工場を回らせていただいていたのですが、彼にとっても学びのおおい時間だったと思います。
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さて、ご登場いただいた根来社長とは、じつはちょっとした夢を描いているのです。
きものに使われるシルクの生産や需要が、日本国内では年々減少しているのは先月にもお話ししました。しかし、世界的に見れば富裕層は増加しており、高級素材・シルクの需要な高まっていくだろうと考えています。
では、国外で―タイの隣国・ミャンマーでシルクを作ることはできないか?
そんな構想を、二人で進めています。
なぜミャンマーかというと、この国が「アジア最後のフロンティア」と呼ばれているからです。
長い軍事政権により教育や、産業の振興において遅れをとったミャンマーは、今国を発展させる人材の不足、また育てた人材を生かす就労環境がない状態に陥っています。
私たちがシルクの生産拠点を造り、少しでも意欲ある人材の受け入れ口になれれば。
そして新たな地場産業として栄え、ただ商売をするだけでなく、僅かながらでも貧しい暮らしをする方への支援になれればと考えているのです。
さて、私たちの夢が実現するのか。
そして誰かの夢を手助けすることができるのか。
みなさま、どうぞ温かい目で見守ってくださいませ。
それでは、来月も海外シリーズ。
次は、アメリカの学会に飛んでまいります。
お楽しみに!