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絞り染めの技を追う(2) 京鹿の子の技法
朝晩はひんやりとした空気が流れ、山装う日が足早に迫ってきているような気がいたします。
さて、前回に引き続き、絞りについて。実験のことのに入る前に、絞りの技法にはどのようなものがあるのかをお話したいと思います。
京鹿の子絞りには、約50種類の技法があり、これらは絞り台を使う「針疋田」と、手だけを使って絞る「手疋田」の二つに大きく分けられます。
手疋田は主に2つの工程からなります。
畳んだ布にくるくる糸を巻き付ける「巻きつけ」と、その巻いた糸がほどけないように、輪っか状にした糸を被せて強く引きしぼる「締め上げ」です。
この巻きつけや締め上げの回数などにより、「手疋田」の中でさらに技法が細分化されます。代表的なものをご紹介すると、
- 一目括り
…糸を2回締め上げる(巻きつけしない)。線を表現するために使います。
- 疋田絞り
…3回以上7回以下巻きつけをしてから引き締める技法で、主に面の表現をつくるために用いられます。
この中でさらに技法が枝分かれしており、「京極疋田」「本疋田」などと呼ばれます。
「本疋田」は京鹿の子絞りの中で最も高い技術と膨大な手間を必要とし、これでつくられたきものは最高級と言われます。
当然ながら、絞り染めにおいてこの絞括技術は、きものの仕上がりに直結する生命線となる技術です。
しかし染物と同じように、こちらも職人さんがどんどん減っているのが現状です。
なんと、今国内に京鹿の子絞りの技術保持者は7名しかいないのです。
そこで私が糊置き技術の研究をしたのと同じように、風呂井先生も絞り職人さんの技法を分析し、技術を守り繋いでゆく助けになればと研究を始められたのです。
きものの技術をどうにか残したい、という気持ちはよくわかりますので、私にできることがあるならお手伝いしていきたいと思っています。
次回は、京都で行われるきものイベントについてお話したいと思います。
お楽しみに!