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染めをつむぐ技たち(2)糊置き職人
春が来たと思うような陽気と、寒さの沁みる日が交互に訪れる冬となりました。
変動の激しい日々ですが、みなさまご自愛くださいませ。
さて、本日は研究の際、惜しみないご協力をいただいた糊置き職人さんのお話しです。
手描き友禅はいくつもの工程に分かれていて、それぞれの工程には
その道のプロフェッショナルな方々がいらっしゃいます。
良いきものは、幾人もの職人さんが心を込めて次の工程へとつなぎ、仕上がるのです。
今日は私の研究対象でもあった、糊置き職人さんのお話。
糊置きのお話しをしていながら、これが友禅染の工程の中で、どのような役割を果たすのかきちんとお話しできていませんでしたね。
前回お話しした図案ができあがったら、まずは下絵職人さんの出番で、白生地に青花液で図案を正確に写し取っていきます。
私の感覚では、ここまでは「芸術」の領域です。その「芸術」を「価値ある工業製品」にするのが、糊置き職人さんの役割。下絵の芸術性を汲み取りながら、線に沿って正確に糊を置いていきます。最近では、下絵工程を省いて、図柄を透かして直接生地にトレースする方法もよく使われています。
下絵の上に、さらに何のために糊を置くかというと、例えば花びらだけに桜色の染料を挿したいときに、まわりに桜色が浸みだしてしまわないようにするためです。
染料の防波堤を作っているのが「糊置き」なのですね。この技術の習得にはゆうに10年かかると言われています。
このとき使う糊の種類によって、仕上がりの「はんなり」ぐあいに差が出る、ということや、技術の継承の課題などは、ブログの当初からお話ししておりますので、もし初めて当ブログをお読みになる方がいらっしゃいましたらそちらをご覧くださいませ。
次回は、とある方との対談させていただいた時のことをお話ししたいと思います。
お楽しみに!